缶詰果実では貯蔵中において褐色化の現象はあまり経験しないが、瓶詰果実においては暗所に置いても明所と同様の褐色化が進行する。これは容器内に閉じ込められた酸素以外に光線の作用が付加される為に缶詰果実よりも著しく褐色化の傾向が大きいと推測されていたが、缶詰内においては果実酸の缶材金属に対する腐食作用に原因して発生する水素の還元作用と缶内酸素の消費が貯蔵中の褐変化傾向を著しく阻止している主原因であって光線の透過、不透過が関与していないと考えられる。筆者等は黄肉桃の瓶詰内に錫板を混在させた時に、黄肉桃の褐色化に何らかの影響を起こすものかについて実験した。同時に注入糖液の果肉褐色化に対する作用についても観察した結果を報告する。
- 著者
- 志賀 岩雄
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1,94-97(1950)
/缶詰時報 第22巻 第2号、
第1回缶詰大会研究発表会((1949)