9.魚類缶詰の臭の改良に関する研究-Ⅱ

サバ水煮缶詰の生臭抑制にはトマトピュレーの水抽出液が有効であることを見出した.しかし,この水抽出液には赤色のリコピンが多く含まれていて肉が赤変する.そこでリコピン含量の少ない黄寿トマト果実の水抽出液を用いて生臭抑制効果を調べ,次いで水抽出液をイオン交換樹脂を用いて中性,酸性及び塩基性区に分別し,どの区分に生臭抑制効果があるかを調べた.

黄寿トマト果実の水抽出液には生臭抑制効果がありその抑制効果は中性及び塩基性区に顕著であった.

中性及び塩基性区の成分を調べた結果,中性区にはフラクトース,グルコースが多く,塩基性区には塩基性アミノ酸とクエン酸,リンゴ酸,ピログルタミン酸が多く含まれていた.

著者
長田 博光、竹内 伊公子、森岡 美智子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,15,59-67(1983)

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