1.食品産業廃棄物によるきのこ栽培

食品産業廃棄物のうちコーヒー抽出かす,茶かす(緑茶,ウーロン茶,紅茶かす),野菜くず,果実搾汁かすについてきのこ培地として有効活用できる技術を検討している.未発酵茶である緑茶,半発酵茶であるウーロン茶についてきのこ栽培の検討を進めてきたが子実体を形成するまでには至らなかった.発酵茶である紅茶かす培地によるきのこの栽培試験の結果,紅茶かす培地できのこ栽培が可能であること,またエリンギの菌傘の裏のヒダのない(胞子を作らない)きのこができることがわかった.また,各種の野菜くず,果実搾汁かすについてきのこ栽培に利用できるものを探索し栽培試験で確認した結果,キャベツ,ジャガイモ,ニンジン,甘夏,パイナップルの培地が良好なきのこを形成した.中でもキャベツ培地は菌柄が太く,収量が多くなり突出したデータを示した.このキャベツ培地できのこが大きくなる原因をキャベツ汁の添加試験やキャベツ成分のアミノ酸(プロリン,グルタミン酸)の添加試験ではその影響は確認できなかった.キャベツ培地の空隙率と全窒素量の調査結果で,菌柄が太くなる原因として窒素源増加による影響とキャベツ粒度(空隙率)により培地の物理構造の改善によるものと考えられる.

著者
岡﨑 由朗、星子 英次郎、宮川 キミ枝、加瀬谷 泰介
出典
東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,26,1-9,(2006)

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