日本では無菌条件下で製造した様々な容器詰米飯が市販されている.その容器として,オキシガード®カップ(酸素吸収容器),ラミコンカップ®(多層酸素バリヤー容器),ポリプロピレン(PP)単層カップが用いられている.容器内には,充填後に残存する酸素や保存中に容器内へ透過してくる酸素がある.米飯のにおいに与える容器と酸素濃度の影響を調査するため,オキシガードカップ(酸素濃度0.3%以下),ラミコンカップ(酸素濃度約1, 3, 10%),酸素吸収剤添付のラミコンカップ,およびPPカップ(酸素濃度約1%)の6種類のモデル製品を試作した.大容量静的ヘッドスペースサンプリング装置付きガスクロマトグラフ-質量分析計を用いて,古米臭成分のひとつであるヘキサナールを経時的に測定した.PPカップおよび酸素吸収剤を添付していないラミコンカップ中のヘキサナール量は,保存中に激増した.また酸素吸収剤添付のラミコンカップのヘキサナール量は徐々に減少した.しかしながら,オキシガードカップでは,1年の保存期間中を通して,ヘキサナール量は一定であり,オキシガードカップ詰無菌化包装米飯は保存中の風味保持がよかった.
- 著者
- 末兼 幸子、隅谷 栄伸、沖浦 文、奈賀 俊人
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,26,37-44,(2006)
/ 缶詰時報,85(9),143-153,(2006)