21.焼酎粕を利用した発酵調味料および発酵栄養補助飲料の開発

2019年度研究助成 (2020年度研究実施)

焼酎はイモ類を麹菌と酵母で発酵した後,蒸留した蒸留酒である.蒸留後の副産物で,焼酎粕にはアミノ酸やビタミン類が豊富に含まれるが,独特の酸味や香りのため食品への応用は行われていない.そこで,本研究ではこの焼酎粕の栄養価に着目し,焼酎粕を用いて機能性のある食品や調味料を開発することを目的とした.
焼酎粕を用いて調味料,飲料などを製造し,官能評価を行った.HPLCにて有機酸成分,GC-MS-Oにて香気成分,DPPHラジカル消去法にて抗酸化作用を評価した.また,高脂肪食投与のC57BL/6Jマウスに焼酎粕を1ヶ月間経口投与し,体重,血糖値,コレステロール値などを測定した.
本研究では,各種焼酎粕を用いて商品の開発を試みた.マヨネーズなどが官能評価で高評価であった.次に成分比較した結果,原料の違いで有機酸量や香気成分に違いが示された.さらに,低いながらDPPHラジカル消去能が示された.最後に,マウスへの焼酎粕投与実験の結果,泡盛焼酎粕で体重増加の抑制,血糖値および血中コレステロール量上昇も抑えられた.このように焼酎粕毎の特徴を明らかにすることで,それぞれの特徴を活かした商品開発の可能性を示すことができた.

所属
別府大学 食物栄養科学部
著者
塩屋 幸樹
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 175-178 (2022)

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