22.ピシフェリン酸の経口摂取による加齢性疾患予防効果

2019年度研究助成 (2020年度研究実施)

ピシフェリン酸はヒノキ科サワラから単離されたジテルペンで,ローズマリー由来カルノシン酸と類似の化学構造を有する.カルノシン酸は酸化ストレス防御システムの活性化など様々な生理活性作用が知られている一方で,ピシフェリン酸に関する生物活性の報告はわずかしかない.本研究では,ピシフェリン酸摂取による加齢性疾患予防効果を明らかにするため,老化促進マウスへの投与実験を行った.
老化促進マウス(Senescence-Accelerated Mouse Prone8:SAMP8)を用いてピシフェリン酸の経口摂取による有効性の検討を行った.対照群とピシフェリン酸投与群の2 群に分けて飼育し,行動科学試験・運動機能解析・老化判定を行った.飼育終了後には血液及び各種臓器を回収し,血液生化学検査や組織化学解析を実施した.
ピシフェリン酸を摂取したマウスは対照と比べ,老化の進行が緩やかになることや認知機能を維持することが明らかになった.その一方で,組織化学解析や血液生化学検査については両群に有意な差は見られなかったものの,他のモデル動物ではピシフェリン酸摂取による大腸炎の予防効果が期待されるなど,経口摂取による有効性が示唆された.

所属
福山大学 薬学部
著者
柴田 紗知
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 179-181 (2022)

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