31.食中毒菌由来膜小胞の放出および毒性発現に対する食品成分の影響

2020年度研究助成 (2021年度研究実施)

毒素型食中毒の起因菌である黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) は,球状の膜構造体である膜小胞に毒素などの病原因子を内包して放出することが明らかにされている.本研究では,食品成分として緑茶に含まれる(-)-epigallocatechin gallate (EGCG),リンゴに含まれるproanthocyanidin (AP),柑橘類の果皮に含まれるnobiletin (NOL) および卵白に含まれるovalbumin (OVA) 共存下でS. aureusを培養し,膜小胞に内包される毒素などの病原因子およびその病原性の量および質的変化について解析した.その結果,EGCG,APおよびNOLは,S. aureus由来膜小胞の病原因子内包量を減少させ,さらに,表皮角化細胞において膜小胞が誘導する炎症関連遺伝子の発現を抑制させた.一方,OVAは,膜小胞の病原因子内包量を増加させ,さらに,ラット好塩基球性白血病細胞において膜小胞が誘導するアレルギー関連遺伝子の発現を増加させた.本研究の成果および今後の更なる研究により,S. aureus由来膜小胞の性状に変化を及ぼす要因を見出すことにより,膜小胞をターゲットにした食中毒のリスク低減や制御策の確立が期待される.

所属
静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院
著者
島村 裕子
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 235-240 (2022)

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