36.酵母を利用した新しい柿葉加工食品の開発

2020年度研究助成 (2021年度研究実施)

全国第2位の柿果実生産をほこる奈良県では,柿果実の他に,郷土食「柿の葉寿司」に使用する柿葉が生産されており,規格外の葉が多く発生する.その一部は柿葉茶に加工されているが,限られた量であることから,柿葉茶の種類を増やすことで柿葉需要を喚起するため,乳酸菌により葉を発酵させる「柿葉後発酵茶」の開発に取り組んできた.本研究では,乳酸菌に加え,県内の醤油蔵由来の酵母を用いることで,更に嗜好性の高い柿葉後発酵茶の開発を試みた.柿葉は県主力品種'刀根早生'葉を用い,乳酸菌 Lactiplantibacillus plantarum subsp. plantarum(sunki-zuke 由来)と,県内醤油蔵由来の酵母2 種 Candida parapsilosis (1-21),Debaryomyces hansenii(2-33)を供試した.乾燥させた柿葉の熱水抽出液に菌を添加する「液体発酵」,蒸した柿葉に菌を添加する「葉発酵」の2通りの発酵において生成した後発酵茶について,におい成分(におい識別装置),香り成分(GC/MS 分析),アミノ酸と有機酸量(LC/MS 分析),味(味認識装置)の分析および嗜好性評価(2点嗜好法)を実施したところ,液体発酵では,1-21添加で,芳香成分であるイソアミルアルコールや複数のアミノ酸が増加した.葉発酵では,酵母の添加でグルタミン酸が増加し,1-21による後発酵茶が対照より嗜好性に優れる傾向がみられた.

所属
奈良県農業研究開発センター
著者
北條 雅也
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 263-271 (2022)

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