05.'桝井ドーフィン'のイチジク樹液由来セリンプロテアーゼのコラーゲン分解活性に関する考察

イチジク(Ficus carica L.)は,システインプロテアーゼであるフィシンに加えて,セリンプロテアーゼを産生する.これまでに,ブラウンターキー種のイチジク由来セリンプロテアーゼが,コラーゲンを特異的に分解することが報告されている.本研究では,桝井ドーフィン種のイチジク樹液由来セリンプロテアーゼのコラーゲン分解活性を評価した.このセリンプロテアーゼは,酸可溶性I型コラーゲンを分解したが,未変性コラーゲンを分解しなかった.また,Clostridium histolyticum 由来コラゲナーゼがウシ血清アルブミン(BSA)を分解しなかったのに対し,イチジク由来セリンプロテアーゼはBSAを分解した.これらの結果から,桝井ドーフィン種由来のセリンプロテアーゼはコラーゲン特異的ではないことが示された.このプロテアーゼを二次元ゲル電気泳動で単離し,LC/MS-MSで部分アミノ酸配列を決定した.BLAST検索により,このセリンプロテアーゼはズブチリシン様プロテアーゼであることが示された.以上の結果は,イチジク由来のセリンプロテアーゼがコラーゲン特異的であると報告した先行研究の結果とは異なった.

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Insight into the collagen-degrading activity of a serine protease in the latex of Ficus carica cultivar Masui Dauphine
This is a pre-copyedited, author-produced version of an article accepted for publication in Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry following peer review. The version of record Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 85(5), 1147-1156 (2021) is available online at: doi:10.1093/bbb/zbab025.

所属
¹ 京都大学大学院 農学研究科 食品生物化学専攻 ² 東洋食品研究所
著者
西村 耕作¹ ²,東矢 圭右¹,上島 直生¹,兒島 憲二¹,滝田 禎亮¹,
阿部 竜也²,高橋 徹²,保川 清¹
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 39-50 (2022) / Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 85(5), 1147-1156 (2021) のプレコピー版を転載