13.レトルト処理に伴う鰹だし中の成分変化:市販鰹節4種の調査

レトルト処理によって内容品の風味が変化することは既知であるが,その風味変化を食品中の成分変化と結び付けた例は少ない.我々はこれまでに,レトルト処理前後で変化する鰹だし中の成分の抽出とその変化が風味へ与える影響を調査し,レトルト処理によって鰹だしにおいて重要なうまみ成分であるイノシン酸が減少していること,また,それがレトルトによる風味変化の一因であることを示した.この鰹だしに生じる変化が一般的な事象であることを確認するため,市販の鰹節4種から鰹だしを調製してレトルト処理を施し,その成分変化を調査した.その結果,レトルト処理に伴うイノシン酸の減少率に差は見られなかったが,イノシン酸と同じくうまみを呈するアミノ酸であるグルタミン酸において,減少率が低い,すなわち残存率が高い鰹だしがあった.グルタミン酸の残存率が高い要因を考察するため,乳酸量,pHおよび各種金属量を調査したところ,残存率はpHと正の相関がみられ,Ca量と負の相関がみられた.

著者
笹井 実佐,湯浅 佳奈
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 103-108 (2022)