16.コンニャクおよび卵白ゲルに対するグルコースと塩化ナトリウムの分配係数と拡散係数

食品製造工程における調味成分の移動現象を系統的に整理するため,コンニャクと卵白ゲルに対するグルコースと塩化ナトリウムの吸着等温線と拡散係数を4℃から80℃の範囲で測定した.吸着等温線の傾きとして定義した分配係数は,温度の上昇により減少した.コンニャクと卵白ゲルに対するグルコースと塩化ナトリウムの分配係数の温度依存性から計算したエンタルピ変化は約-2 kJ/molであった.有効拡散係数は10-10から10-8 m2/sの範囲にあり,温度の上昇とともに増加した.コンニャクおよび卵白ゲルにおける拡散係数の活性化エネルギはそれぞれ約17および9 kJ/molであり,グルコースと塩化ナトリウムでは値が類似していた.また,多成分系における分配係数は単一成分系でのそれらとは異なる場合が確認された.

Distribution and diffusion coefficients of glucose and sodium chloride onto konjac and egg white gel
Food Science and Technology Research
doi:10.3136/fstr.27.359

著者
謝 裕基
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 133-141 (2022) / Food Science and Technology Research, 27(3), 359-367 (2021) を転載