17.ダイコンの多糖抽出条件の検討

テクスチャーは食品のおいしさを決定する要素の1つである.野菜や果実のテクスチャーに関与するとされているセルロース,ヘミセルロース,ペクチンは互いに結合しているため,複雑な構造となり,野菜や果実の硬さに関与する成分は未知な部分が多い.根菜類であるダイコンに着目し,ダイコンにペクチン主鎖分解酵素処理を行った結果,酵素未処理の群よりも軟化したことから,ダイコンの硬さへのペクチンの関与が示唆された.根菜類の多糖に用いられる方法で抽出したが,未抽出多糖が存在したことから,抽出条件を検討した.従来の方法で抽出後に,endo-Polygalacturonase(PGase)で処理した結果,ペクチンの1種であるラムノガラクツロナンIIが抽出されていないことが示唆された.水,キレート剤,塩酸に加え,PGase,炭酸ナトリウム,水酸化カリウムと段階的に抽出することで,多糖の大部分を抽出できると考えられた.

著者
梅谷 華奈,井上 竜一
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 34, 143-147 (2022)