39.園芸作物の硝酸塩蓄積に関する研究-Ⅴ
トマト果実の硝酸塩蓄積におよぼす植物生長調整物質の影響-1

植物生長調節物質がトマト果実中の硝酸塩蓄積におよぼす影響について実験を行った。植物生長調整物質はGB(ジベレリン)50ppm、PCPA(p-chlorophenoxyaceticacid)30ppmの2種類を用い、トマト品種はChicoとH-1370の2種を用いた。栽培は68'年から69'年(秋〜冬)にかけてガラス室内で土耕栽培を行った。処理は各花の開花当日に行い第3番花房で芯止めとした。

5-1 Chicoは植物ホルモンの処理によって果実の肥大、熟期の促進、初期収量の増加がみられたがH-1370では果実の肥大はみられず、品種によって処理効果が異なることがみられた。

5-2 果実中のNO3-N含量はGB処理区が低く、PCPA処理区が高くなった。

5-3 ChicoのNO3-N含量は高く、H-1370は低かった。

5-4 ホルモン処理による全窒素含量への影響はみいだせなかった。果実の全窒素含量はChicoで170-200mg%、H-1370で100〜130mg%であり品種間の差が大きかった。

5-5 果実中のNO3-N含量と全窒素含量の間に品種による相関がみられ、ChicoはH-1370より果実にNO3-Nが蓄積しやすい品種であるとみられた。

5-6 施肥法、品種の選択、改良によってNO3-N の低いトマト果実を得ることができると推察された。