35.食品中の核酸成分に関する研究-Ⅳ
食用きのこの加工における核酸成分の消長(その1)

シイタケおよびマッシュルーム抽出液のヌクレオシドポリホスフェート画分について同定した。

マッシュルーム、シイタケよりの煮出しにおいて抽出される総5′-ヌクレオチド量に対しては温度の大きい影響があり60〜70℃で60分の時が最も5′-ヌクレオチド量が多かった。このような5′-ヌクレオチドの増加の原因の一つとしてポリホスフェートからの分解が考えられ煮出しにおいてはATP、ADPの分解に伴う 5′-AMPの増加が認められた。 マッシュルームにおいて主体はATP、ADPの分解に伴う5′-AMPの増加と考えられるが、シイタケについてはATP、ADPの分解を考慮しても5′-ヌクレオチド量の増加が著しく大きく、これが核酸分解酵素系の作用によるか否かについては後報で検討したい。

著者
毛利 威徳、橋田 度、志賀岩雄
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,252-262(1965)

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