23.食品中の核酸成分に関する研究-ⅩⅥ
シイタケの乾燥中における核酸成分の消長

乾燥シイタケは乾燥中にも核酸成分にかなりの変化が認められるが復水によってヌクレオチド組成の変化がより一層大きいことが認められた。 乾燥中では60℃でATPは減少しADP、4種の5′-ヌクレオチドが増加した。100℃では、ATPが1.78μmole/g dry wt.と残存しているがADP4種のヌクレオチドはあまり変化がなかった。

60℃で乾燥したシイタケの復水においては、30℃30分復水でADPが2.26μmole/g dry wt.から1.16μmole/g dry wt.と減少しているが、ヌクレオチドはあまり変化なかった。70℃30分復水でADPはわずかながら減少したが、4種の5′-ヌクレオチドすなわち5′-GMP、5′-AMP、5′-UMP、5′-CMPが蓄積した。

乾燥(60℃)シイタケでのRNase、PDase、PMase活性は、約1/2に低下した。また100℃ではRNase活性は約1/6まで低下し残存しているがPDase、PMase活性はほとんど失活した。乾燥温度が60℃程度で行なわれ、70℃程度で復水されるときには、5′-GMPなどのヌクレオチドの蓄積が著しく呈味成分として大なる貢献をすることであろう。

著者
毛利 威徳、橋田 度、志賀 岩雄、寺本 四郎
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,165-171(1969)

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