日本農芸化学会 2008年度大会で発表しました。

発表要旨を掲載します。

「イチジク葉の抗酸化能とその関与成分について」

【目的】

イチジクは古来より人類に栽培されてきた植物で、果実だけでなく葉も茶等として利用されている。しかしイチジク葉の機能性については十分研究されていない。そこでイチジク葉の抗酸化能とその関与成分について調査した。

【方法と結果】

当所付属農場で栽培している40品種を用いた。8月中旬に当年枝中位の成葉を採取して分析試料とした。一部の品種については茶に加工して評価した。抗酸化能はESR法(O2-消去能)、あるいはORAC法で測定した。抗酸化能の関与成分としてビタミンC(HPLC)およびポリフェノール(フォリン-チオカルト法、LC-MS)を調べた。ESR法で測定した葉の抗酸化能には40品種の間で約2.3倍の差があり、11品種が国内主要品種'桝井ドーフィン'の2倍以上の値を示した。ビタミンC含量および総ポリフェノール含量は抗酸化能と有意な相関を示した。LC-MS分析から、イチジク葉にはルチンを含む複数のポリフェノールと思われる成分が含まれ、その多くは茶に加工しても残存している事が分かった。成分を分取して調べた結果、イチジク葉の抗酸化能にはビタミンCやルチンの他に、数種の成分が関与していると考えられた。

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