1.缶詰上部空隙内酸素ガスの変化-1

砂糖、クエン酸及びクエン酸ソーダから構成のpH価3.4〜3.5の溶液と、電気メッキブリキ板製200gms.詰め果汁缶を試料として、真空詰めした缶詰の上部空隙内の酸素ガスの濃度をBeckmanのヘッドスペースサンプラー及びラボラトリーオキシゲンアナライザーM.777を使用して測定し以下の結果を得た。

1.酸素ガスは無地缶内では急速にその濃度を減少するのに反し、内面二重塗装缶内においては長期間に亘って残存する。

2.酸素ガス濃度減少曲線は対数曲線をなす。

3.酸素の消去反応は、その濃度に関し一次反応と見なされ、反応速度恒数(kday-1)として次の如き直線が得られた。
  無地缶:0.51〜0.56、還元型アスコルビン酸50mgs.%添加無地缶:0.42、還元型アスコルビン酸50mgs.%添加二重塗装缶0.15〜0.18。

4.二重塗装缶内において、還元型アスコルビン酸の損失割合と酸素ガス消失割合とは直線関係を示す。

5.缶の真空度は、酸素ガスの消失割合の増加に伴って上昇する。

著者
志賀 岩雄、木村 圭一、永田 みわ、児島 宏枝
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1-10(1965)