41.合成培地によるマッシュルーム培養-ⅠⅩ

マッシュルーム栽培期間中、子実体の発生収穫に伴いコンポスト中には有機物の減少とか炭酸ガス、水分、アンモニア、アミン、エチレン、アセトアルデハイド、アセトン、エチルアルコール、エチルアセテートなどの生成とかが知られている。菌糸の成育中と子実体の発生中との間でも異なった成分変化を示している。菌の必要とする養分を知り、単位コンポストより得られる収量を増加する目的で著者らは稲わらコンポストを使用して実験を行なった。

菌糸の成育から子実体の収穫期間中、コンポストの灰分、繊維、リグニン、糖分、1%苛性ソーダ可溶分が変化している。

コンポストの消費と子実体発生との関係はガラス容器を使用した場合、コンポストの乾物量消費0.52kgに対し、子実体発生量3.06kgを示したが、トレイの場合、コンポストの乾物量消費6.0kgに対し子実体発生量23.5kgに止った。注意深く栽培すればコンポスト中の有機質の減量の約6倍のマッシュルームを収穫する可能性を示している。

子実体の窒素量、糠量は発生周期によって異なっている。発生の最盛期には窒素量は少なくなる傾向があるが、糖量は増加する。

著者
高橋 善次郎、岡 信子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,346-353(1967)