4.缶詰の内面腐食に関する研究-Ⅴ
缶詰開缶後のスズ溶出量について

ジュース類ならびに果実缶詰を開缶し、そのままの状態で室温ならびに5℃冷蔵庫内に保存した場合のスズ溶出量を経時的に測定した。

1.無塗装缶に詰められたジュース類ならびに果実缶詰では開缶後室温・5℃冷蔵庫内保存の如何を問わず内容物の種類によってスズ溶出速度に差は認められるが、3〜48時間で開缶直後の2倍に増加した。

2.界面腐食は同一条件下に保存した場合、内容物の種類によってかなり差が認められた。

3.無塗装缶使用缶詰、特に内容物の少ない小型缶詰ではスズ溶出量の点から、開缶後の保存方法について考慮しなければならない。

4.塗装缶に詰められたジュース類の缶詰開缶後のスズ量増加は無塗装缶に詰められたジュース類に比べて極微量であった。

著者
岩本 喜伴、前田 琇子、堀尾 嘉友
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,25-30(1969)

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