5.硫化黒変度の算定

硫化黒変は通常の金属溶出型の腐食とは異なり、現在視覚のみに頼っているため、金属表面自体の結晶構造によって黒くみえることがあり、黒変度の判別を誤らせることが多い。そこで著者らは缶内面の硫化黒変度を簡単に知る方法を見出すため実験を行ない、またその値は硫化錫中のイオウ量であらわすことにして検討を加えたので、その結果について報告する。

黒変ブリキは視覚的に判別し難く、カラーマシンによる金属表面の反射率からも黒変度との相関関係が得られなかった。また塩酸による黒変部のみの溶解も困難であったが、2Nアルカリに黒変ブリキを浸漬し、室温に30分から45分間放置することによって、容易にブリキ表面の硫化変色に関与する硫化錫のみを溶解できることを見出し、この方法によってアスパラガス缶詰の缶内面の黒変の度合を算定した。

著者
竹内 伊公子、大塚 滋
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,31-35(1969)

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