20.食品中の核酸成分に関する研究-ⅩⅢ
マッシュルームの冷凍乾燥における5′-ヌクレオチドの消長

冷凍乾燥したマッシュルームは水戻しによってヌクレオチド組成の変化が認められるが、冷凍乾燥前後の変化はほとんど認められなかった。水戻し操作中にATPが減少し、5′-AMPは増加した。

またアデノシンの変化も認められた。ADPは差引きほとんど変化がなかった。冷凍乾燥品を5℃、30℃で減圧缶詰中に貯蔵すると1カ月後より変化が認められ6カ月後にはATPは4.5から2.0μmol/dry wt.まで減少し5′-AMPは0.2から1.5μmol/dry wt.まで増加した。冷凍乾燥中はRNase、PDase、PMase活性は安定に保持されたが6カ月間の貯蔵中にそれぞれの活性は約1/2に低下した。

マッシュルーム冷凍乾燥の水戻しで生成される5′-AMPは若干呈味成分として貢献することであろう。

著者
毛利 威徳、下田 吉夫、橋田 度、寺本 四郎
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,139-146(1969)

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