12.高圧処理したモモ均質化物保存中の揮発性成分の変化に及ぼすL-アスコルビン酸および塩化ナトリウム添加の影響

剥皮した桃(品種:山根白桃)にショ糖を20%添加後,L-アスコルビン酸(AsA)のみを0.1%添加したもの,塩化ナトリウム(NaCl)のみを0.5%添加したもの,AsAおよびNaClの両方をそれぞれ0.1%と0.5%添加したもの,ショ糖以外に何も添加しないものの計4種類をそれぞれ別々にミキサーで均質化した.これらの4種類のモモネクター様試料をそれぞれプラスチックボトル数本に満注充填後スクリューキャップしボトル1本ずつ,400MPa,20℃の設定条件で10分間高圧処理した.各ボトル詰め試料を0℃および25℃にそれぞれ9週間保存し,経時的に香気成分を測定した.香気成分はボトル1本分の試料からヘッドスペース成分をダイナミックヘッドスペースサンプリング法によってTenax TAに吸着後,熱脱着によってキャピラリーGC-MSに導入し分析する方法で測定した.その結果,全ての試料で保存中にベンズアルデヒドが酵素反応で生成し特にAsA添加試料でその生成量が多かった.高圧処理したAsA添加試量は低温に保存すると,その風味及び色は非常に優れていた.

著者
隅谷 栄伸、末兼 幸子、中谷 文、達家 清明
出典
東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,22,103-111,(1998)

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