17.抗菌活性を有する混合茶原料の検索

既報(中尾ら,1998)にて混合茶飲料缶詰Gの内容物が,高温保存の混合茶飲料缶詰から分離したBacillus stearothermophilus BLTに対し,抗菌作用を示すことを報告した.本報において,抗菌作用の由来を調査するため,分離菌BLTに対し,抗菌活性を有する混合茶飲料缶詰Gの原料を検索した.そのため,11種の混合茶原料抽出液に分離菌BLTを接種,培養し,経時的に菌数を測定した.

その結果,3種の混合茶原料抽出液は分離菌BLTの菌数が増加する傾向の増殖曲線を示すI型,8種は減少する傾向の増殖曲線を示すIII型に層別された.従って,混合茶飲料缶詰Gに存在すると推定される抗菌活性物質が,III型の8種の原料に由来する可能性が示唆された.さらに,よもぎ,緑茶,およびウーロン茶における分離菌の菌数減少は,混合茶飲料缶詰Gにおけるそれより速いことが判明した.

また,よもぎ抽出液にpolyvinylpolypyrrolidoneに吸着される抗菌活性物質が存在することを推定した.

著者
中尾 浩、松井 智江、遠田 昌人、吉本 周
出典
東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,22,141-145,(1998)

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