1.室内塵埃中のダニ類・真菌類ゲノムDNA抽出法の比較検討

生物的汚染物質の指標としてアレルゲン性ダニ類と真菌類に焦点を当て,室内塵埃からのゲノムDNA抽出法,およびダニ類,真菌類に特異的なプライマーを用いたPCR増幅を検討した.掃除機で回収した室内塵埃試料(大きさ250 μm以下の画分)から,自動核酸抽出装置を用いるQuickGene®法によってゲノムDNAを抽出した.しかしながら,抽出したゲノムDNA溶液には,腐植質と思われる物質が残存しており,そのままではPCR増幅が阻害された.そこで,QuickGene®法で抽出したゲノムDNA溶液の希釈や,土壌微生物ゲノムDNA抽出キット「ISOIL」,「SoilMaster」を用いた室内塵埃試料からのゲノムDNA抽出法を検討することにより,腐植質の影響を低減できた.この精製したゲノムDNA溶液を鋳型として,堤らによって提案されたダニ類,真菌類それぞれのITS(Internal Transcribed Spacer)領域に特異的なプライマーを用いてPCR増幅が出来た.

著者
青木 俊介、加瀬谷 泰介
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,27,1-8(2009)

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