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10.耐熱性ゲルを用いた常温流通向け軟化食品の崩壊抑制法検討

酵素を用いることで,軟らかいにもかかわらず形状が保持されている食品が開発されているが,この食品は振動で崩れやすいため冷凍品として流通されている.もし,このような食品が常温流通できれば,保管場所を選ばない,環境負荷が少ない,災害時用非常食として利用などのメリットがある.耐熱性ゲルを用い,軟らかいにもかかわらず形状が保持された食品の振動による崩壊抑制方法を検討した.

脱アシル化ジェランガムが0.75%,ゲルの厚みが約3 mm,食品の厚みを10 mm 以下にすると,食品の崩壊を抑制できた.この条件で製造したカップ詰筑前煮は30℃,80% RH,6 ヶ月間保存後も,硬さ,色調は大きく変化しなかった.軟らかく形状を保持した筑前煮は常温で1 年以上の賞味期間が設定できると予想される.

このカップ詰を,川西-横浜間の往復輸送試験に供した.10G 以上の衝撃加速度は,集荷場で発生していることから,強い衝撃は主に人や機械による積み降ろし時の取扱いで加わると予想される.

輸送試験において,56%のカップ詰筑前煮の食材が崩壊した.繰り返し落下試験および実輸送試験における食材の崩壊の結果から,複数回の強い衝撃によって食材が崩壊すると考えられた.衝撃加速度を20 G 以下とすることで,食材の崩壊を防ぐことができると予想された.

著者
井上 竜一
出典
東洋食品研究所 研究報告書,31,67-75(2016)

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