2020年度研究助成 (2021年度研究実施)
昆虫の食料(タンパク質源)としての利用可能性を高めるべく、本研究では、昆虫タンパク質由来の機能性ペプチドの創製とその化学的特性の調査を目的とした。コオロギタンパク質がヒト体内の胃の中で加水分解されてペプチド化された際に見られる機能性を想定して実験を行った。コオロギのタンパク質をプロテアーゼで加水分解し、粗ペプチドを得た。この粗ペプチドには、血圧上昇抑制効果の指標となるアンジオテンシンⅠ変換酵素阻害活性(ACE阻害活性)が見られた。従い、まずはこれをゲルろ過クロマトグラフィーによりおおまかに分子量ごとに分取した。それぞれの画分について、このACE阻害活性がとくに高い(低濃度で活性がみられる)画分について、ペプチドを構成するアミノ酸の種類を調べるため、逆相HPLCを複数回条件を変えて行うことにより精製し、ペプチドを単離した。単離画分に含まれるペプチドのアミノ酸配列をアミノ酸シークエンサー解析により同定し、全部で7種類のペプチドの配列を明らかにした。これらのペプチドの分子量は300から900の間にあり、N末端にはアラニンなどの脂肪族アミノ酸、C末端にはチロシンなどの芳香族アミノ酸から構成されるペプチドが多く含まれることが明らかとなった。
- 所属
- 徳島大学大学院 社会産業理工学研究部
- 著者
- 佐々木 千鶴
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 35, 121-124 (2025)