2021年度研究助成 (2022年度研究実施)
オリーブ葉の水抽出物はタンパク質を架橋する働きをもち、タンパク質ゲル状食品の機械強度を向上することが明らかとなっている。抽出物の主要なポリフェノールであるoleacein(Ole)はグルタルアルデヒド様の構造を有しているため、タンパク質ゲル内に架橋を挿入し、ゲルの機械強度を向上することが考えられるが、Oleがタンパク質ゲルの物性に及ぼす影響は明らかとなっていない。本研究ではオボアルブミン、ゼラチン、及びアクトミオシンのゲル物性に及ぼすOleの影響を解析した。5mM Oleの添加によって、オボアルブミンの加熱ゲルの破断応力は4.1倍増加、ゼラチンの冷却ゲルは6.7倍増加した。また、アクトミオシンの加熱ゲルの破断応力は、1mM Oleの添加によって5.2倍増加した。Oleによる破断応力の増加率は、同濃度の架橋剤ゲニピン及びグルタルアルデヒドよりも高かった。アクトミオシンゲルの微細構造を走査電子顕微鏡で観察したところ、Ole添加ゲルは、他の架橋剤添加ゲルよりも緻密なネットワークを有していた。以上のことから、Oleはゲニピン及びグルタルアルデヒドよりも物性改変効果が強いことが明らかとなった。Oleは加熱ゲル及び冷却ゲル共に破断強度を向上したことから、幅広い温度条件でも効果を発揮する食品グレードの架橋剤として有用である。
- 所属
- 宮城大学 食産業学群
- 著者
- 赤澤 隆志
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 35, 125-130 (2025)