2022年度研究助成 (2023年度研究実施)
カフェインの摂取は、覚醒、心血管疾患予防、パフォーマンス向上(スポーツ栄養で昨今話題)といった様々な作用を示す。概日時計は、時計遺伝子に駆動される約24時間の生体システムであり、様々な生理機能に日内リズムを作り出すことで、生体の恒常性維持に役立っている。これまでの研究から、カフェインは、概日時計に対し、周期(1日の長さ)を延長させたり、投与タイミングによって位相(時刻)を変化させることを、細胞実験や動物実験で明らかにしてきた。本研究では、カフェインに甘味を追加し、マウスに自由飲水させ、行動リズムの変化を調べた。カフェイン水により、マウスは夜行性から昼行性に変化し、マウスによっては長周期の行動リズムが現れた。中枢時計の破壊実験から、その行動は中枢時計非依存的であることが分かった。また、末梢時計は臓器間の同調が消失し、振幅も低下していた。夜型な人はカフェイン摂取量が多いという研究もあることから、本研究結果は、日常生活におけるカフェイン飲料の概日時計への影響を再考察する重要な知見となるだろう。
- 所属
- 広島大学大学院 医系科学研究科
- 著者
- 田原 優
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 35, 181-183 (2025)