1.缶詰甘藷の試験結果

我国に於ける甘藷の生産額は30数億紋貫に達する莫大なものであるが、貯蔵性に乏しいため年々腐敗によって廃棄される量もかなりの数量になる。よって有効に価値ある食料として利用されるように、最大の努力がなされなければならない。甘藷の貯蔵食品化は極めて重要なことであって、食糧問題の解決に大いに寄与することとなろう。

甘藷の貯蔵法には種々あって、その各々に長所、欠点もある。しかしながら、戦時中に配給されたような、煮ると褐色に着色し、異臭味をともなうような生切千品の如きは、折角の優秀な食品を不適当な加工方法によって価値の少ない食品としてしまう。この改善として缶詰化が極めて好ましい貯蔵食品となり、その良好な風味と貯蔵、輸送の利便性において、非常に優れている。我々は昨年、弊校付属農場で18品種の缶詰の試作品を製造し、物理的性質について測定した。現在までに試験の完了した7品種について、その結果を報告する。

著者
志賀 岩雄、岡屋 忠治
出典
東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,1,1-8,(1950)
/ 缶詰時報, 第25巻第6号 (1946)