7.白瀧水煮缶詰の内面発錆について

白瀧水煮缶詰における内面発錆現象とその関係について試験した。白瀧缶詰のみの実験結果から、一般缶詰の内面発鋳問題まで諭ずるのは当を得ないかも知れないが、しかしブリキの条件を論外とすれば製造技術的な面において、おおよそ以下の結論を導き出すことが出来る。

1、錆は鉄面が中性若くは略中性(PH=4〜8乃至10)の液に接して次の如き反応によって赤錆を生ずるものと思われる。
  Fe + O2 + 2H2O = Fe(OH)2   4Fe (OH)2 + O2 + 2H2O = 4Fe(OH)3 即ち、鉄の発錆現象においては、酸素と水とが不可欠の要素である。

2、缶の内面における発錆現象は主として、上部空隙に接するブリキ板面中の鉄の露出点において起こり、必要な水分と酸素は内容物から供給される。

3、従って中性域の内容物であって、酸素を消費しない内容物の発錆防止には、加熱手段またはその他の方法によって、内容物中の酸素を除去し、上部空隙量を出来る限り制限し、且つこの中の酸素を出来る限り排除することが絶対必要である。

著者
澤山 善二郎
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1,39-51(1950)