13.蜜柑缶詰における各種ブリキの比較試験
(溶出錫、鉄量の経時変化について)

本研究は、我が国の缶詰中最も生産高の多い蜜柑缶詰ついて1カ年間にわたり、缶材の腐食と密接な関係にある溶出錫、鉄量の経時変化を各種ブリキについて検討した結果を報告する。

1.37℃13ヶ月貯蔵した蜜柑缶詰は、真空度のあった缶詰でも商品価値のないほど褐変していた。

2.室温12カ月貯蔵区の錫溶出畳は、H.D.およびE.T.#100、T.U.#100とも100ppm程度である。37℃13カ月貯蔵区の錫溶出量は500ppm以上である。内面無地の蜜柑缶詰の場合、錫溶出量に関しては、37℃貯蔵区では室温貯蔵区の4〜5倍に相当する。

3.37℃貯蔵区より、錫溶出畳は急激に増大し、室温貯蔵区との差が大きくなる。このことから37℃恒温室での腐食促進試験は、3カ月以上の貯蔵試験を行なうべきである。

4.缶内面の脱錫が進行し、鉄面に対する錫の保護作用がなくなると鉄溶出量は急激に増大し、水素腫脹缶となる。水素膨脹缶の鉄溶出量は、25ppm以上であった。

5.ブリキについては、E.T.#25ブリキは現在のところ、蜜柑缶詰用には使用できない。H.D.ブリキとE.T.#100ブリキ板使用缶詰の錫溶出量の差は認められない。 6.両側塗装を施したものの錫溶出量は少ない。しかし、塗装の境界面から脱錫が進行する。

著者
岩本 喜伴
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,81-91(1963)

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