17.加工時におけるアスパラガス成分の変化について(第1報)
遊離アミノ酸及び有機酸の消長

一般に加工食品はその加工操作中の加熱殺菌等の処理によって新鮮原料と比較し味、香りの点で変化していることが多い。この風味の変化に直接影響する物質としては低分子化合物、特にカーボニル化合物、含硫化合物、揮発性還元物質、およびアミン等があげられるが、それらに関連してアミノ酸、有機酸も重要な役割を果たしていることは充分考えられる。我々はアスパラガスを材料に選び、まず生原料と缶詰製品中の遊離アミノ酸および有機酸の分析を行なったので報告する。

(1)ホワイトおよびグリーンアスパラガスの生原料および缶詰製品中の遊離アミノ酸および有機酸の分析を行なった。

(2)遊離アミノ酸としてはアスパラギン酸等12種が、またアミドとしてアスパラギン,グルタミンが見出された。

(3)有機酸としては酢酸等10撞類の酸の存在を認めた。

(4)缶詰製造時の変化としてはプロリンの増加、グルタミンの減少、酢酸、フマル酸、ピログルタミン酸の増加、リンゴ酸、クエン酸の減少が認められた。 (5)缶詰製造時にグルタミンがピログルタミン酸と遊離のNH3に変化する事を推定した。

著者
下田 吉夫、松木 熊市
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,111-116(1963)

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