18.缶詰清酒の貯蔵中における着色について(第2報)

缶詰清酒が一定期間貯蔵後に示す酸化還元電位の測定を行ない、清酒の呈する色との関連について観察し、興味ある結果を得たので報告する。

1.8,9月の頃に販売容器に詰め、室温に約6〜9カ月貯蔵後pHメータを利用して酸化還元電位(rH)を測定し、測色の結果および含有鉄分の分析結果と対比し、相互の関連性について検討した。

2.缶詰清酒におけるrH、CIE表色法による酒色の純度,および鉄の含有量等の個別的な数値のばらつきが、かなり判然としているのに反し、びん語清酒では略一定し、しかもそれらの数値は一般的にびん詰において低い。

3.缶詰清酒におけるrHと色の純度との間には相関がみられる。それと同時にrHと鉄の含有量との間にも相関が認められる。

4.短期貯蔵の缶詰において、塗料によって被覆されない微小露出金属面より溶出の鉄イオンがある濃度以上に達すると、缶内に封入されたある制限量の空気中の酸素による清酒成分の酸化が加速され、酸化還元電位の上昇、ならびに酒色の濃厚化を促すものと考えられる。

著者
志賀 岩雄
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,117-124(1963)

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