9.缶詰食品中のクロムについて-Ⅰ
塗装クロム処理鋼板使用缶詰の内面腐食

クロム処理鋼板がブリキと同様に食品の包装器材として使用出来るか否かについて内容物の保存性も含めた耐腐食性試験を昭和37年より、さんまフィーレ油漬、あじトマト漬、あさりクン製油漬、グリンピース等8品目の缶詰を製造し、室温及び37℃恒温室内に貯蔵し、経時開缶試験を行ない2ケ年間にわたる貯蔵試験を終了した。以下にその結果を報告する。

1)塗装したクロム処理鋼板からのクロム溶出量はきわめて少なく、塗装したブリキと比較してもほとんど差は認められない。又貯蔵条件による差、及び経時的に増加する傾向もほとんどみられない。 あさりクン製油漬、あさり水煮では0.12〜0.24ppmであったが充填前の原料肉中に0.15〜0.18ppmのクロムが含まれていた。その他は0.01〜0.10ppmの範囲内であった。

2)鉄溶出量は、缶種及び貯蔵条件に関係なく一般的に除々に増加の傾向がみられる。しかもブリキ缶よりクロム処理鋼板使用缶の方が大きい。この事は酢酸酸性で腐食性の強いピックルスの缶詰において甚だしい。

3)A社 B社のクロム処理鋼板からのクロム、及び鉄溶出を比較してもあまり差は認められない。内容物を選択する事により、A社、B社製クロム処理鋼板は充分缶詰用器材として使用出来る。

著者
岩本 喜伴、廻 清子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,51-57(1965)