15.缶詰を蒸気で殺菌する場合のレトルト温度上昇期における諸因子の影響

缶詰を蒸気で殺菌する場合,レトルトに蒸気を入れてから所定の温度に到達するまでに時間を要する。一般にこの機関を"Come-up period"と称しており,この間のレトルト温度の上昇は,蒸気の供給量,レトルトの大きさ,型式などによって異なる.この時のレトルト温度の上昇変化によって缶内の温度上昇も変化する.

缶詰の殺菌時間を算出する場合,Ballはレトルトの温度上昇時間の42%を殺菌時間に加算すべきだとし,また,Alstrand等はレトルトが対数的に上昇した場合には,加算する割合が平均70%だと述べている.しかしこれらの値は実験的な平均値である.

本報ではレトルト温度の上昇変化によってjの値や,殺菌時間に加算すべき割合がどのように変化するのかを理論的に究明した.

缶詰を蒸気で殺菌する場合のレトルト温度曲線の変化によって,殺菌時間に加算すべき割合は変化するが,普通のレトルトの場合には,その曲線が下に湾曲している2次曲線か,または対数的に変化した曲線が多いと思われる.したがって殺菌時間に加算する割合は60〜80%が適当である.

著者
池上 義昭
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,11,92-98(1974)