21.核酸成分の変化から見た缶詰原料の鮮度-Ⅰ
魚肉中の核酸成分の変化

缶詰原料及び缶詰生産物の鮮度を判定する指標とされているヒポキサンチン、イノシン、イノシン酸を測定するためにカラム(クロマトグラム)法、酵素法による定量法を吟味した結果と併せて従来、鮮度の指標として提唱されているその他の方法について比較検討したので報告する。

ヒポキサンチン、イノシン、イノシン酸等の核酸成分はカラム法、酵素法によって測定した。淡水魚のハクレンのヌクレオチドパターンは、ATP、ADP、5′-IMPが主体であった。酵素法での3種の酵素に対する核酸系成分の阻害性については、ADPがヌクレオチダーゼの作用を阻害することが明らかになった。他の核酸塩基へのキサンチンオキシダーゼの作用についてはグアニンにわずかに反応した。

著者
毛利 威徳、橋田 度、泰 圭子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,135-141(1973)