3.原料品種がイチゴフルーツプレパレーションの品質に及ぼす影響

冷菓・チルドデザート用として利用が拡大しているフルーツプレパレーション(FP)の品質特性に原料品種が及ぼす影響について調査した.当研究所農場で栽培しているイチゴ11品種('ベニヒバリ','宝交早生','アメリカ','アロマ','バハロ','タイオーガ','幸玉','フレスノ','麗紅','千代田'および'ダナー')を実験に用い,FPの糖度,滴定酸度,色調,アントシアニン含量および果実硬度を測定した.FPの糖度に品種間差はほとんど認められなかったが,滴定酸度は'アメリカ','ベニヒバリ'および'千代田'で高い傾向を示した.アントシアニン含量は,'バハロ'および'ベニヒバリ'で高く,'アメリカ'は顕著に低かった.外観,色,硬さ,香りおよび食味の5項目について官能評価を行った結果,'宝交早生'および'ベニヒバリ'を用いたFPはいずれの項目においても評価が高く,FPに適した品種であることが示唆された.特に'ベニヒバリ'は加工による果実の煮崩れも少ないことから,加工原料として幅広い用途が期待できる.

著者
後藤 隆子、奥 正和、高橋 徹、森 大蔵
出典
東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,24,19-28,(2002)

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