8.境界要素法によるレトルト食品のレトルト殺菌中の温度の計算

偏微分方程式の数値解法としては,現在,次の4つの方法がよく知られている.すなわち,差分法(FDM),有限要素法(FEM),有限体積法(FVM),および境界要素法(BEM)である.境界要素法は有限要素法の後に登場した比較的新しい方法であり,電磁気学,構造力学,材料力学,流体力学,熱伝導学などの分野のいろいろな問題に適用されている.

しかしながら,境界要素法(BEM)がレトルト殺菌中の容器詰食品の温度計算に応用された例は現在のところ見当たらない.ここでは,1次元非定常熱伝導方程式の境界要素法による数値解を求めるための計算方法を検討した.さらに,この計算方法を用いてレトルト殺菌中のレトルト食品の温度を計算したが,理論解を使って計算した温度とほとんど一致した.レトルト食品の温度計算に境界要素法を応用することができた.

著者
寺島 好己
出典
東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,24,71-107,(2002)

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