16.摺動式殺菌における容器形状と内容物への熱伝達の関係

容器包装詰食品は、常温保存に際し有害微生物を殺すために殺菌される。対象微生物を殺菌するための加熱が長ければ、食品の品質は損なわれる。食品への伝熱の改善は重要であり、殺菌時間を短くする方法の一つに動揺殺菌がある。動揺殺菌には3つの方式、回転、揺動、摺動がある。レトルトカーを水平に動かす摺動式において、容器形状、内容物の粘度、熱伝達の関係を調べた。角型プラスチック容器(115×115×53mm)に5%スターチ溶液350gを充填した場合の、摺動式と静置式の殺菌時間を比較した。

摺動式の殺菌時間は静置式に比べ、25 %になり、摺動により被殺菌物の撹拌を生み、殺菌時間が短縮できた。容器形状による殺菌時間の短縮化について比べると角型が最も大きく、次いでトレー型、丸型であった。

著者
田口 憲人、田口 善文、高橋 英史
出典
東洋食品研究所 研究報告書,29,129-133(2013)