15.常温保存可能な具入りレトルトパンの開発

偏食する児童,朝食を欠食する若者,材料調達や料理が困難な高齢者の数が増加している.一方,世界的に見て,多くの人々は朝食に米よりパンを好む.日本でも朝食時のパン消費量が増加傾向にある.そこで,バランスの取れた栄養成分,簡便性,常温保存性を融合させた商業的無菌パンの開発を目的とした.パンは野菜,肉,炭水化物を十分含み,栄養計算を行い,バランスのとれた食品とした.具材はレトルト殺菌後も褐変し難いものを選んだ.焼成後のパン外皮(クラスト)の水分含有率が30〜40%となるよう,具材の水分含有率は30〜75%に調整した.保存中のクラストの硬化抑制のため,小麦粉のタンパク質含有率は9.5〜12%とした.パン生地は副原料を添加しなかった.クラストの厚みを薄くすることでドリップの吸収を均一化させた.これらにより具入りの商業的無菌パンが可能となった.

著者
稲田 有美子、高橋 英史
出典
東洋食品研究所 研究報告書,29,117-128(2013)