03.イチゴヘタ離れ性とエチレンの関連性調査

当研究所で交配育種された加工用イチゴ品種'ベニヒバリ'は,ヘタ離れ性が高いという特性を持っている.'ベニヒバリ'ヘタ部における発現タンパク質の網羅的解析から,ヘタ離れ性品種のヘタ部組織では,エチレン合成酵素であるS-アデノシルメチオニン合成酵素タンパク質の蓄積量が増大しており,エチレンの合成量が多いことが示唆された.そこで,本研究では,イチゴのヘタ離れにおけるエチレンの役割について調査した.

ヘタ離れ性の高い品種のヘタ部では,合成・受容体遺伝子の発現量が多かった.特にエチレン合成の律速と考えられる,1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸合成酵素の発現増加が顕著であり,ヘタ離れ性品種のエチレン量が増加していることが推察された.そこで,各品種のエチレン量を測定したところ,ヘタ離れ性とエチレン量には高い正の相関関係(相関係数r2 =0.753)がみられた.また,ヘタ離れ性を持たない品種にエチレン発生剤(エテホン)を処理すると,処理果実の一部でヘタ離れ様の器官脱離が見られ,一方,ヘタ離れ性の品種にエチレン合成阻害剤(アミノエトキシビニルグリシン)を処理すると,ヘタ離れ率の低下が確認された.これらの結果から,イチゴのヘタ離れにおいて,エチレンが必須であることが示唆された.

著者
阿部 竜也
出典
東洋食品研究所 研究報告書,31,19-25(2016)

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