04. 主成分分析を用いたネギ属外皮に含まれるα−グルコシダーゼ阻害活性分子探索

生活習慣病の一つである糖尿病は,食事制限や定期的な通院など,患者のQOLを著しく低下させる疾患である.α-グルコシダーゼは二糖のα-1,4結合を切断し,体内に吸収される単糖を生成する働きを持った酵素であり,これを阻害する成分は糖尿病の治療薬として実用化されている.本報告では,統計解析手法の一つである主成分分析を用いて,ネギ属外皮に含まれるα-グルコシダーゼ阻害活性成分の探索を試みた.8種のネギ属外皮熱水抽出液について阻害活性試験を実施し,8種のうち5種が活性を示すことが明らかとなった.同様の8試料についてLC/MS分析を実施し,得られたクロマトグラムを用いて主成分分析を実施した.スコアプロットから阻害活性の有無で群分けが確認され,ローディングプロットから活性に寄与する可能性がある成分として3成分が抽出された.それらの成分を同定し,標品を用いて阻害活性の確認を行った結果,新規α-グルコシダーゼ阻害活性成分としてケルセチン-4'-O-グルコシドを同定した.

This is an electronic version of an article published in Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry [Volume 83, 4, 751-754, 2019]. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry is available online at DOI:10.1080/09168451.2018.1564619.

著者
大木 伽耶子, 隅谷 栄伸
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 33, 35-38 (2020)