日本農芸化学会 2010年度大会で発表しました。

イチジク茶の抗アレルギー作用

○阿部竜也、高橋徹

イチジクの食品機能性研究の一環として、イチジク茶の抗アレルギー作用を調査した。ラット好塩基球性白血病細胞RBL-2H3株において、IgE抗体感作時にイチジク茶を培地に添加しておくとその後の脱顆粒反応が著しく阻害された。一方、感作後の細胞にイチジク茶を処理しても脱顆粒反応の阻害は起こらなかった。またマイクロアレイ解析から、イチジク茶はRBL-2H3細胞の遺伝子発現に影響を与えないことが示唆された。以上の結果から、イチジク茶はIgE抗体とIgE抗体受容体との結合を阻害していることが推測された。

カキ果皮抽出物投与の糖尿病GKラットに対する効果

○井土良一、高橋英史

干し柿製造時に食品加工残渣として排出されるカキ果皮は、カロテノイドなど機能性成分を多く含むが、そのほとんどが廃棄されている。本研究ではカキ果皮の有効利用を目指し、2型糖尿病モデルラットにカキ果皮抽出物を投与して、肝臓中遺伝子発現変化とタンパク質の変化について調査した。  カキ果皮抽出物を添加した餌(試験群)と無添加餌(対照群)をGKラットに12週間自由摂取した後、DNAマイクロアレイを用いて肝臓の遺伝子発現を解析した。その結果、試験群において発現量が増加した遺伝子群と減少した遺伝子群の両方でインスリンシグナリング経路関連遺伝子が多く含まれていた。さらに、インスリンシグナリング経路に関わるタンパク質のリン酸化が促進されることも示唆された。

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