19.ナリンギナーゼによる夏ミカン脱苦味の研究-Ⅲ
各種製造条件での脱苦味効果

ナリンギナーゼ剤を添加した缶詰製品の長期貯蔵試験および種々缶詰製造条件を変えた場合のナリンギナーゼ剤による脱苦味効果を換討した結果、次のようなことが認められた。

1.ナリンギナーゼ剤を添加した缶詰製品を室温に貯蔵した場合、3カ月以内に十分な脱苦味効果か得られる。そしてこれらの製品は2年後でも果肉の崩壊、異味異臭の発生は認められず、十分良好な状態を保っていた。

2.種々の缶詰製造条件下でのナリンギナーゼ剤による脱苦味効果を検討した結果、全糖製品の場合、酵素剤の添加量は5号缶では20u、特1号缶では500uで十分であり、低速の回転殺菌機を使用する場合には、殺菌温度75℃で時間を適当に延長することにより十分な効果が得られることを認めた。

3.人甘併用品(サイクラミン酸ソーダ使用)の場合には未だ十分な効果が得られなかった。この点殺菌条件、サッカリン等他の人工甘味料の影響等さらに検討を要すものと考える。

著者
下田 吉夫、奥 正和、森 大蔵、澤山 善二郎
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,140-148(1967)

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