21.アップルソース缶詰の研究-Ⅱ
日本産リンゴを用いたアップルソース缶詰品質の経時変化

1)アップルソース缶詰を美容食または離乳食的に開発する目的で、アスコルビン酸を添加して、その経時変化を調べた結果、80 mg%添加したものが12カ月後で66.6mg%と83%の残存率を示し、18カ月後でも57.8mg%と70%以上の残存率を示したので、強化食品としての添加効果は十分あると考える。

2)エリソルビン酸はアスコルビン酸より分解が速く、80mg%添加したものが12カ月後で39.0mg%と48%、18カ月後で38.3mg%と47.9%と50%前後の残存率しか示さなかった。

3)缶内面の腐蝕状態も12カ月後で錫は80〜100ppm.鉄は5〜6.5ppm、18カ月後で錫は100〜130ppm、鉄は7〜9ppmと各区とも大差なく、問題になる程の溶出量ではないと考える。

4)糖質食品において褐変の中間体と考えられているH.M.Fの生成量は12カ月後で、各々2〜3mg%で褐変は認められない。

5)色調についてはアスコルビン酸・エリソルビン酸併用区が他に比べて、若干良いようであるが、いずれの区も大差はなかった。 また、これら抗酸化剤を添加しても、しなくても18カ月位の貯蔵期間中では色調に大きな差は認められなかった。

6)粘度について、B型粘度計を用いて測定したが、アップルソースの粒子が粗すぎるためか値がバラツキ、変化の傾向はつかめなかった。しかし見かけ上あまり変化はしていなかった。

著者
森 大蔵、奥 正和、佐藤 都、下田 吉夫、澤山 善二郎
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,159-166(1967)

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