23.果汁缶詰の褐変に関する研究-Ⅰ
内面二重塗装缶に詰めたナツミカン果汁の褐変に及ぼす第1スズ塩の添加量の影響について

ナツミカン果汁に塩化第1スズを種々の量を添加して、内面二重塗装缶に詰め、果汁の褐変に対する添加第1スズ塩の量的差異による影響について無地缶と共に観察し、併せて上部空隙内の酸素ガス、真空度の変化、缶内面の腐食傾向等についても観察した。

1)第1スズ塩の添加量と果汁の褐変との間には相関性が認められ、スズの存在量の大きいものほど褐変の抑制効果が大であった。

2)但し、スズの褐変抑制効果は、任意の温度において、一定期間内に限られ、それを過ぎると抑制力を失い、第1スズ塩無添加の試験缶詰とほぼ等しい匂配でY値が低下する傾向が認められた。

3)果汁の褐変に対する貯蔵温度の影響は顕著で、30℃恒温貯蔵では比較的短期でスズの褐変抑制効果の喪失が認められたが、室温貯蔵の場合、スズとして250ppmに相当する塩化第1スズを添加した試験缶詰は、少なくとも一年間は無地缶に匹敵する良好な色調の保持が可能であった。

4)果汁中のスズの存在量は同一水準の場合、果汁の褐変に対する抑制効果は無地缶が優れる。この抑制効果は、スズイオンだけによるものでないことを示唆しているので、若干の考察を試みた。

5)塩化第1スズの添加は酸素ガスの消費を鈍らせた。

6)真空度並びに缶内面の腐食傾向などに、とくに指摘すべき現象 の発生は認められなかった。

著者
木村 圭一、児島 宏枝、衣裴 寿子、志賀 岩雄
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,143-150(1971)

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