5.まぐろ類缶詰中の揮発性含硫化合物並びに遊離アミノ酸組成について

まぐろ及びかつお蒸煮肉を原料とした水煮,油潰,味付及びブロス入缶詰を製造し,pH,揮発性塩基窒素(VBN),揮発性含硫化合物(VSC),遊離アミノ酸含量と缶内面硫化黒変との関係を調べた.

まぐろ蒸煮肉はかつおに比べて,pHが高く,VBN量が多かった.遊離アミノ酸としては,ヒスチジンが圧倒的に多く,まぐろ蒸煮肉で82%,かつおでは73%を占めた.その他タウリン,リジンが比較的多かった.かつお蒸煮肉ではりジン及びグルタミン酸を除いたすべてのアミノ酸含量がまぐろに比べて多かった.

まぐろ類水煮及び油漬缶詰の硫化水素量が多く,貯蔵中に缶内面硫化黒変の生成がみられた.一方,まぐろ類味付缶詰では硫化水素量が少なく,硫化黒変の生成はみられなかった.

著者
竹内 伊公子、朽木 由香子、長田 博光
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,16,37-44(1985)