9.市販コーヒー缶詰中のショ糖脂肪酸エステルの定量

1981年製造の10種類の市販コーヒー缶詰と,かってO.A.フラットサワー変敗が生じた1978年製造の1種類の市販コーヒー缶詰の計11種類を用いショ糖脂肪酸エステルの定量を行った.内容液をシリカゲルに吸着後,メタノール・クロロホルムでSEFAを溶出し,減圧乾固後N,N-ジメチルホルムアミド溶液とし,セファデックスLH-20カラムで分画した.SEFA画分をアンスロン硫酸法で発色し,市販乳化剤P-1570(菱糖株式会社)として定量した.さらに,すべての画分を同様に発色したクロマトグラムとSEFA画分のTLCとから定性を行った.1981年製造の10種類中6種類はSEFAが添加され,その濃度は約20-460ppmの範囲であった.この6種類中,4種類はO.A.フラットサワー変敗阻止濃度に近いと思われる250ppm以上を添加されていた.また,1978年の試料には添加されていなかった.

* 新しいタイプのフラットサワー変敗(第9報)

著者
中山 昭彦、園部 順子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,16,73-83(1985)