5.タケノコ(Phyllostachys pubescens)水煮缶詰の製造法の改良

現在のタケノコ水煮缶詰は,タケノコを長時間水晒しして,pHを低下させたのち,製造している.そのため,タケノコは酸味がするし,フレーバーも悪い.そこで,水晒しを短時間にしてレトルト殺菌する方法を開発する目的で試験した.

その桔果,レトルト殺菌することにより,酸味及びフレーバーの問題は解決した.しかし,チロシンによる白濁と缶内面腐食が顕著になった.そこで,これらの防止法について検討した.白濁防止には,メチルセルロースの添加が有効であった.缶内面腐食は空缶にPTF缶を用いることで防止できた.

以上の結果,空缶はPTF缶を,注液は0.3%のメチルセルロース溶液を用い,110℃で85分加熱殺菌することにより,白濁及び缶内面腐食がなく,かつ,フレーバーの良いタケノコ水煮缶詰が製造できた.

著者
森 大蔵、大熊 昌子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,19,37-46(1992)