16.梅酒の製造に対する高圧処理法と加温処理法の比較

果実1,500gに氷砂糖1,050g,ホワイトリカー2,700mℓを添加した.従来法は調合した試料を蓋付きのガラス瓶に入れ室温暗所に保存した.高圧処理法及び加温処理法は,調合した試料を高圧処理もしくは加熱処理した後,各々蓋付きのガラス瓶に入れ室温暗所に保存した.果実を水に浸漬し,高圧処理すると,果実からの離水がみられ,細胞が破壊されることが示された.また,高圧処理は加熱処理と同様に氷砂糖の溶解を促進させた.果実からのエキスの溶出の速度は加温処理法,高圧処理法,従来法の順であったが,平衡に達するには3区共に約60日を要し,官能試験の結果はこれら3種類の試料間に差を示さなかった.従って,高圧処理法は製造期間の短縮にほとんど効果を示さなかった.

著者
朝賀 昌志、中西 律子、青山 好男
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,20,127-135(1994)

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